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coco's bloblog


07/01/29

[] 『妖虫の棲む谷』 ジョン・ソール  『妖虫の棲む谷』 ジョン・ソール - coco's bloblog を含むブックマーク はてなブックマーク -  『妖虫の棲む谷』 ジョン・ソール - coco's bloblog

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ロサンゼルス郊外の田園地帯に、カレンは幼なじみの農業主と再婚するため二人の娘と共にやって来た。だが結婚式の当日、次女のモリーが蜜蜂に刺され意識不明となってしまう。実は、それは昆虫学者カールが極秘に開発した新薬を蜜蜂で試し、その結果生まれた蜜蜂が彼女を刺したのだ。モリーは奇跡的に回復したものの、それから間もなくして、子供たちが蜂に刺され異常反応を起こす事件が続発した…。狂気の昆虫学者に呼び覚まされるように、不思議な霊力がのどかな田園地帯を凄惨な世界へと変えてゆく。

オーソドックスな因縁話とハイテク・ホラーという具合に、大まかに二つの作風を使い分ける作家ですが、本書は後者に分類できるものの中では最良のソール作品といっても過言ではないでしょう。もちろんどちらの作風においても少年少女に対する必要以上に凄惨な仕打ちが待っています。

華やかなりしモダンホラー・ブームの中でも我が道を往くとばかりに徹底して己のスタイルを固持し続けてきた作家ですが、本書は良い意味でジャンルの王道に歩み寄りを見せたかのようなアイディアに溢れています。毎度おなじみの田舎町と少々複雑な問題を抱えながらも愛情溢れる家庭を舞台にしながら、中心に据えられたのはハイテクによって生み出された凶悪極まりない昆虫。群れで這い回り飛び回るこれらを描く筆致は明らかにテラーではなくホラー寄りのもので、この明快さがこれまでの作品と趣を異にするところ。しかも後半出現する寄生され変態する人間の様など、なんとも魅力に富んだモンスター像となっており、ほとんどクーンツのようなノリのよさ。

一時は見限って読まずにきたけれど、意外な拾い物がまだまだ残されているかもしれないので、そのうち全部集めておきましょう。徹底して救いの無い物語を紡いでくれる作家というのも意外と貴重なのです。しかも本書終盤、子供を失った母親が放つ言葉がこんなんなのですよ。

「現実を受け入れよう。すべては終わったのだ。もうこれ以上思い悩んでも子供たちは帰ってこないのだから」とカレンは思った。

最早生きて帰ってくることはないと確信したその場でここまであっさりと引き下がらせちゃうなんて、一体何を言わせるんだソール!なんてひどいやつだ!

序盤、愛らしいキャラたちに思いっきり感情移入させておいて、投げやりともとれるなんともひどい突き放しっぷり。この非道さがたまらないのです。


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レア本をゲットできてご機嫌の早川さんですが・・・

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