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coco's bloblog


11/10/10

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今年度版の『ミステリが読みたい!』のランキングに投票させていただけることになったので、このところミステリばかり読んでいた。しかしそんな事情がなくとも手に取ったであろう面白本ばかり。


 『ブラッド・ブラザー』 ジャック・カーリィ(文春文庫)

きわめて知的で魅力的な青年ジェレミー。僕の兄にして連続殺人犯。彼が施設を脱走してニューヨークに潜伏、殺人を犯したという。連続する惨殺事件。ジェレミーがひそかに進行させる犯罪計画の真の目的とは?強烈なサスペンスに巧妙な騙しと細密な伏線を仕込んだ才人カーリイの最高傑作。

すでに数冊既刊のあるシリーズものだが、つながりは緩いようなので私のようにここから読んでも存分に楽しめる。サイコものはそれこそ星の数ほどあるが、ここでのトンデモお兄さんのキャラクター造形の素晴らしさはそれらと一線を画する。もちろんそれ以外にも読みどころは沢山。緩急効いた構成と複線の妙。正直ディーヴァーと比べるのは(個人的思い入れがあるせいか)ちょっと違う気もするが、一気読み必至というリーダビリティは遜色なし。


『謝罪代行社』 ゾラン・ドヴェンカー(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

失業したクリスら四人の若い男女は、依頼人に代わって謝罪する仕事を始めた。ある日、彼らの一人が指定の場所に行くと、壁に磔にされた女性の死体が!依頼人は死体に謝罪し、それを録音して送ること、死体を始末することを求めた。家族の身を守るため拒否はできなかった。やがてさらに不可解な事件が起き、彼らを悲劇が襲う!ひたすら車を走らせる「わたし」とは誰か?女性を殺した「おまえ」の正体は?謎めいた行動をする「彼」とは?さまざまな仕掛けを施して描く、驚愕のドイツ推理作家協会賞受賞作。

ここ最近のポケミスにハズレなし。目まぐるしい視点・場面の転換、複雑きわまりない語りと構成、そしてあまりにも苦い展開と、死体を巡る黒いユーモア。幻惑されつつ流され、それが最後に収束するときのこの快感。早川書房がポケミスとミステリ文庫のダブルヘッダーで推すのもうなずける力作。


『ねじれた文字、ねじれた路』 トム・フランクリン(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

ホラー小説を愛する内気なラリーと、野球好きで大人びたサイラス。1970年代末の米南部でふたりの少年が育んだ友情は、あるきっかけで無残に崩れ去る。それから25年後。自動車整備士となったラリーは、少女失踪事件に関与したのではないかと周囲に疑われながら、孤独に暮らす。そして、大学野球で活躍したサイラスは治安官となった。だが、町で起きた新たな失踪事件が、すべてを変えた。過去から目を背けて生きてきたふたりの運命は、いやおうなく絡まりあう――。

英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー(最優秀長篇賞)、ハメット賞ほか多数のミステリ賞ノミネート。

そしてトム・フランクリンの長編をついに読める…この悦びといったら。短篇『密猟者』ただ一作でここまで焦燥を募らされた作者の、期待に違わぬ傑作。五感を刺激しまくる圧倒的な描写力と、繊細な郷愁の同居に胸焦がすこと必至。


『探偵術マニュアル』 ジェデダイア・ベリー(創元推理文庫)

雨が降り続ける名もない都市の“探偵社”に勤める記録員アンウィンは、ある朝急に探偵への昇格を命じられた。抗議のため上司の部屋を訪れるも、そこで彼の死体を発見してしまい、否応なく探偵として捜査を開始するはめに。だが時を同じくして都市随一の探偵が失踪、謎の女が依頼に訪れ…アンウィンは奇々怪々な事件の迷宮へと足を踏み入れる。ハメット賞受賞の驚異のデビュー作。

一見色物キワモノ。でもこれが面白いんだなあ。『未来世紀ブラジル』、『夢宮殿』…いろいろ想起させるものは過去にもあったが、調理法の個性でオリジナルなものになっている。ハマると怖い個性的な一冊。